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東北大学法科大学院メールマガジン第73号 03/18/2011 東北大学法科大学院長 佐藤 隆之
3月11日に発生した巨大地震では、仙台市・宮城県及び近隣の地域で甚大な被害が生じています。お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表します。また、被災をされた方々に心よりお見舞いを申し上げます。 今回の巨大地震では、本法科大学院も大きな被害を受けました。 多くの方にご心配をいただきましたが、この間、事務室の方に電話やメールで連絡をしていただき、確実な目撃情報も合わせますと、本日までに、在学生全員の安全を確認することができました。ご協力ありがとうございました。また、法学研究科の教職員につきましても、全員の無事が確認されています。 すでに大学より発表されているとおり、平成22年度の学位記授与式は中止となり、また、平成23年度の入学式は、4月下旬に行われる予定です。 いずれも大変残念なことではありますが、仙台市内では、電気・水道の復旧が進んでいるところがあるとはいえ、未だ物流については復旧の目処が立たない状況であり、帰省できる在校生のみなさんは、この間、帰省していただくなど安全な場所で待機して下さい。 被災による打撃に加え、新司法試験を控えた3年生及び修了生の皆さんの不安はいかばかりかと思います。3月中に予定していた各種の講義等はやむを得ず中止といたしましたが、現在、改めて実施の可能性を模索しています。 なお、15日から、時間を制限してではありますが、自習室への立入り、法政実務図書室の利用を認めております。来週以降の利用については、随時TKC教育システム及びメールにて周知をいたします。 皆さんの中には、避難所や友人宅に身を寄せて学習をしている方もいると聞いています。つらく厳しい日々はなおしばらく続きますが、皆さんは決して一人ではありません。お互い気持ちを強く持って、一日一日を乗り切っていきましょう。 最後に、くれぐれも身体に気をつけて過ごして下さい。 ◇地震発生に伴う各種の取扱いについて(在学生、修了生の皆さんへ) 平成23年3月17日時点での、地震発生に伴う各種の取扱い(大学からの連絡、進級者の発表、エクステンション教育研究棟及び法政実務図書室の利用等)について、本学TKC教育支援システムに掲載されていますので、ご覧下さい。 エクステンション教育研究棟の自習室、情報処理コーナー室、コモンルーム、ゼミ室、法政実務図書室等は、時間制限等はありますが利用可能です。法政実務図書室については、修了生も利用可能です。 なお、各種の取扱いについては、今後の復旧に伴い随時変更されますので、法科大学院ウェブサイトの災害情報やTKC教育支援システムを随時ご確認下さい。
東北大学ウェブサイト http://www.tohoku.ac.jp/
去る平成22年10月14日(木)に開催された「新司法試験合格者と語る会」における講演概要の第4弾、最終回です。 合格者体験談 半澤 茜さん
<はじめに> 東北大学の法学部出身ですが、大学の在学中は、進学を考えておらず、ロースクール受験を考えたのが大学の3回生の頃で、サークル活動もあり、法律は、大学3回生の後半あたりから学習をし始めたので、既習と言うほど、法律の知識があったわけではありません。ですから、今日お話しされた他の既習者の方とは随分違う勉強方法であるように思いますが、今日は、あくまで一例としてお聞きいただければと思います。 今日は、新司法試験の体験談ということで、流れとしては、L2からL3前半までの勉強に軽く触れたあと、試験対策について触れ、その後、私が昨年試験対策を始める前に、疑問に思っていた点で、もしかしたら皆さんが疑問に感じるかもしれない点について軽く触れようと思います。
<L2・L3前半の勉強法> 新司法試験対策を何もしていないことについては、かなりの不安がありましたが、修了に必要な単位を揃えないことには、受験ができないので、授業に集中することが試験にも生かされると信じて、授業に照準をあてて勉強をしていました。 この期間の勉強方法としては、どの教科も、予習の段階でノートを作成しあらかた完成させておいて、授業後にそれを補完するという形で行って、テスト直前にそれを見直すという形で行っていました。 今思えば、この期間に細かくノートを作っておいたことが、試験対策を始めてからの学習において、随分役に立ったと感じています。ですから、今授業で精一杯だ、それが不安だ、という方は、割り切って授業に集中することでこの時期はいいと思います。
<L3後半〜新司法試験直前までの勉強法(試験対策)> 思い切ってあきらめたものの例としては、基本書、百選の通読があります。基本書・百選の通読はやっている人が多くて、これをしないことには随分不安がありましたが、私の読む速度が極端に遅く単純に間に合わないと考えたことと、通読だと全くといっていいほど頭に残らなかったからです。 百選・基本書の利用方法としては、択一・論文の勉強の際に、絶対に基本書・百選に戻るという方法を採用しました。このようにすることで、基本書等を読む際に、疑問を持って読むこと、強弱をつけて読むことができ、通読する場合と比べて頭に入ったような気がします。 各教科どのような対策をとったかというと、論文と択一、両方についてそれぞれの科目で対策をとるのが普通だと思いますが、とにかく十分な時間がなかったので、論文と択一、それぞれにしっかりとした対策をとることはあきらめ、民事系・刑事系・公法系、それぞれについて自分にとって、何が試験に必要なのかを検討し必要なこと以外は手をつけないという方針で対策を決めていきました。いくつか例をあげてみます。
○民法の対策 それで、民法については、択一の勉強に重心を置き、知識量を増やすことに集中することとし、択一の勉強をやっていれば論文も伸びると信じて、模試等を除いて論文対策は特にしないこととしました。(民法については論文を書く時間を択一の勉強に充てていました。)
○刑法の対策
○憲法の対策 憲法の択一の対策としては、新司法試験の過去問を解いてみて、判例のかなり細かいところまで正確な理解が求められている印象で、とにかくがむしゃらに問題数をこなしてもそれほど点数に結び付かないような気がしました。そこで、判例の全文に当たれるような勉強方法を採用することとしました。具体的には、問題数の多くはない問題集をベースに、そこで出てくるような判例は、できるだけ全文を読むように心がけました。 以上、3つの科目について例をあげましたが、この期間の勉強を振り返って思うのは、上記のような内容だと、全体の勉強量は本来的には、足りないだろうな、ということです。少ない勉強の中で最大に近い効果を出せた、ということかもしれません。 ひとつの勉強方法からどれくらいの成果を得られるかというのは人それぞれだと思います。自分に適した方法を採用することが大切なのだと思います。特にL3生にとっては、時間的な制約が大きいですし、あれこれむやみに手を出すのではなく、何が自分にたりないのかを考えて、最小限そこに対処していくことが大切なのではないかと感じます。 何が足りないのかを考えるには、まず過去問を解いてみて、何が不足しているのかを探ることが良いのではないかと思いますので、過去問は早めに解いてみることをおすすめします。
<皆さんの疑問に応えて>
○勉強会をやるべきか? 勉強会をやることとのメリットとしては、人に答案を見てもらえること、人の答案が見られること、同じ問題について一斉に取り組むので、疑問の共有、解決の共有がはかれることのように思います。デメリットとしては、やはり時間がかかることが挙げられます。 勉強会を組むべきか否かはこれらの点を比較して選択すべきと思います。必ずやらなければまずい、というものではないと思います。私にも、必要がなかったのではないかと思われる勉強会がありますから、時間と相談ということになるかと思われます。
○模試を受けるべきか? 模試を受けてから受験本番までの間の勉強方法、体調管理の方法、何よりも、本番期間中の過ごし方について、受ける前と考え方が大きく変わりました。チャンスがあるのであれば、何か一つでも受けることをおすすめします。
○萩法会について 自分と同じ問題に、他の受験生がどれくらい書くのか、どのように書くのか、それをみるいい機会にもなり、成績が出ますので、刺激になりますし、弁護士の先生から論文の評価をしていただけます。論文対策にあまり時間を割くことのできなかった私にとって、とてもいい練習になりました。
<最後に>
○L3になるまでにしておくべきこと
○L3期の勉強中しておくべきこと
○試験について―短答 短答、条文の知識が聞かれて答えられないというのはすごくもったいないように思います。なるべく早いうちから、もしかしたらL1・L2のうちからでも素読を行うことがいいように思います。
○試験について―論文 長くなってしまいましたが、以上で終わりにします。頑張ってください。
◆編集後記
今回の巨大地震により、広範囲にわたり甚大な被害があり、ここ仙台市でも大きな被害が生じました。 今回の巨大地震では、本法科大学院も大きな被害を受けましたが、在学生や教職員の無事を確認することができました。現在は、教職員一同、復旧に向けて、着実に歩を進めております。
皆さんの中には辛く不自由な生活をされている方もいると思いますが、この困難は必ず乗り切れるものと信じております。お互いに助け合う気持ちを持って、日々諦めることなく過ごして頂ければと思います。 今回は新司法試験の合格体験談・第4弾をお送りしました。今回の講演の内容についてご寄稿及び掲載にご快諾いただいた半澤さんに、心から御礼申し上げます。
昨年度の合格者体験談の講演者の皆さん(第52〜第56号を参照)と同じように、今年度の講演者の皆さんからも「最後まで諦めない」という言葉が出ています。 (杉江記)
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