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東北大学法科大学院メールマガジン第48号 09/30/2009 ◇平成22(2010)年度募集要項(再掲)
「平成22(2010)年度東北大学法科大学院学生募集要項」がホームページに掲載されております。出願書類の用紙の請求は、入試関係資料請求ページ(テレメールWeb)から行って下さい。請求方法の詳細は、テレメールWebのアドレスにアクセスした後、ページ内の指示に従ってください。
(募集要項)
(資料請求)
また、新しいパンフレット(PDF)がホームページに掲載されております。ご覧ください。 ◇特別講演会
東北大学法科大学院では、長島・大野・常松法律事務所の関根攻弁護士をお迎えして、修了生・在学生・教職員を対象に講演会を開催することになりました。
10月28日(水) 13:00〜14:30 今回は、去る7月4日(土)に片平キャンパス法科大学院棟第2講義室において行われた、本学の2008年卒業生である安藤瑠生子さんのご講演の概要をお送りします。 東京における就職活動について 第62期司法修習生・本学2008年卒業生 安藤瑠生子さん
○はじめに 今日お話しするのは3点ありまして、1点目は私自身がどういう就職活動を行ってきたのかという体験を中心にお話させて頂こうと思います。2点目は、私自身の体験だけでは少し心許なかったので、同期で東京の大学出身の方の就職活動について聞き取りをしてきましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。3点目として、就職活動とは関係ないのですが、自分の反省も踏まえて、司法修習までにどのような勉強をやったらいいかというお話をさせて頂こうと思います。
○私の就職活動の体験 ロースクールでは特に企業法務関係のことをやっていたわけではなく、また、同期のロースクールの修了生のほとんどが仙台就職を希望する人でした。ですから、あまり情報が集まってこなかったので、東京で就職活動をしていたロースクールの先輩から情報を得ることにしました。地方大学の学生は、東京の学生に比べて仲間内で情報を共有しにくい点、情報収集が難しいところもありますが、今は専門のサイトもあります。私も「アット・リーガル」という専門サイトをみたりして、どのような事務所がどうような時期に説明会を開催しているか、個別訪問のエントリーがいつ頃から始まるかという情報をチェックして情報収集を始めました。大手の事務所や採用活動を広く行っている事務所のほとんどはホームページ上で詳細に事務所の紹介をしていますので、そこから情報収集をして、自分はどこに興味があるのかを考えながら、興味を持った事務所の説明会に参加するという形で就職活動を始めました。 企業法務系の事務所は早くから採用活動を行っており、試験が終わった5月末から事務所説明会の案内が出ている事務所もかなり多いです。私も5月末くらいから就職活動を始め、6月上旬に事務所説明会の申込をするというスケジュールになりました。ただ、事務所説明会もあっという間に埋まってしまい、早め早めに行動しないと遅れをとってしまう傾向にあります。私自身も事務所説明会に行きたいと思っていたところが満杯になってしまい参加できなかったことがかなり多かったです。ですから、情報はこまめに早めにチェックする必要があると思います。また、内定を出す時期も、正式に聞いたわけではないのですが、噂では大手事務所になればなるほど早い傾向にあるようです。合格発表前に、正式ではないものの内定を出している事務所も多いので、早めに動くことが重要であると思います。 事務所説明会は、5月末、6月からはじまるところが多いと思います。事務所説明会をやらない事務所もありますが、多くの事務所では、申込をして説明会に参加し、説明会でその事務所のことを知り、そのあとに個別訪問に行くという流れでやっていると思います。私自身も、事務所説明会に申し込むとともに、エントリーシートという形で個別訪問の申込を、6月の中旬ぐらいから後半にかけていろいろな事務所に履歴書を送り、就職活動を始めました。一般の就職活動と同じでエントリーしても必ず個別訪問をさせてもらえるとは限らないですし、いくつの事務所に個別訪問できるのかは人によってバラバラだと思います。私自身は 6社にエントリーしたのですが、実際に個別訪問で会って頂けたのは3つの事務所でした。実際に個別訪問に呼ばれたのは7月に入ってからです。おそらく、他の事務所も7月1日から個別訪問を開始しているところが多いと思いますので、7月は個別訪問が集中する時期だと思います。個別訪問ですが、ほとんど面接のようなもので、修了生1人に対し事務所の弁護士の先生3人くらいで、30分〜1時間程度面接させて頂くという形でした。 実際の個別訪問ですが、私自身も最初は見当がつかなかったので、ロースクールの先輩から昨年は何を聞かれたかという話を予め聞いて準備をして臨みましたが、実際は事務所によって聞かれることはものすごく違いました。それは、事務所の採用方針もありバラバラなことが多かったのですが、どこでもよく聞かれた質問もありましたので、少しご紹介させて頂きます。 個別訪問で必ず質問されたことは、私が東北大学出身というお話をすると、東北大学の卒業生の中で企業法務に特化している弁護士の方はほとんどいらっしゃらないので、どうして仙台で就職しないのかという質問でした。もともと企業法務に興味があって東京で働きたいと思うのなら、なぜ東北の学校に行ったのかという疑問があったのだと思います。また、一般民事ではなくてどうして企業法務をやりたいのかという質問は必ずと言ってもいいほどされますので、自分なりに整理して説明できると非常にいいと思います。 特に一番多く質問されたことは、事務所に対する質問にはどういうものがあるか、何か質問をしてみなさい、ということでした。ある個別訪問先の事務所では、1時間のうち6〜7割の時間でその質問を受けました。もちろん私も質問を考えて訪問したのですが、途中で、もうこれ以上質問を出せないということになってしまいました。どの事務所でも質問を求められることがすごく多いのですが、その中で、仕事や事務所にどれだけ興味を持っているのか、どういう質問ができる人物なのかをみられているのだと思います。ですから、これから面接に行かれる方は、その事務所についての質問を多く用意して行った方がいいですし、質問をするためにはその事務所のことを非常に深く調べなければいけないと思います。 以上の2点以外の質問は事務所によって違うのですが、志望動機や、なぜ他の事務所ではなくて訪問先の事務所に行きたいのかを聞かれることは多いですし、法曹を目指したきっかけや、弁護士を志望する理由もよく聞かれたことでした。個別訪問では質問をしたり、されたりで、ほとんど一般企業の面接とあまり変わらないような内容であったと思います。 どの事務所でも、最低1回は個別訪問があり、事務所によっては1回目の訪問で内定を出すというところもあるらしいのですが、2回目、3回目の面接を重ねて内定を出すところもあります。私の場合、7月に個別訪問に行きましたが、採用の内定を頂いた事務所は1つでして、その事務所では8月に入ってからも2回目、3回目と個別訪問を重ねました。2回目、3回目の訪問では、主に勉強以外のことを質問されました。具体的には、学生時代にどのようなアルバイト、サークル活動をしたのか、勉強以外でどのようなことをしていたのかということを中心に質問されました。あとは、趣味等、法律以外の勉強で、どのような人生を送ってきたのかということを主に質問されました。また、2回目、3回目の個別訪問でも、何か質問はあるかということを必ず聞かれましたので、何も質問はありません、ということがないようにすることが重要だと個人的には思っております。 私の場合は3回目の個別訪問で内定を頂いたのですが、これは人によっても事務所によってもバラバラのようで、いつ内定がでるのかは本当にわかりませんが、何度かチャンスをもらえる場合には下準備が大事だと思いますので、これから面接を控えている方がいたら、事務所の研究を十分にして、自分の意見を整理してうまく対応できるように練習しておくことが非常に大事だと思います。また、私自身の面接に関する反省点としては、事務所説明会に締め切りが過ぎてしまい行けなかったことがあったのですが、個別訪問に行くと、事務所説明会に来たかということは必ず質問されます。事務所説明会で聞いた内容から、こういうことを質問してみたいなと思うことが必ず出てくるものですし、やはり説明会に行くとその事務所のカラー、他の事務所と違って力を入れているところがよくわかるので、説明会には積極的に参加すればよかったと思っています。ですから、これからもし説明会が開かれる事務所があってその事務所に行ってみようと思っている人がいましたら、説明会には積極的に参加してみるといいと思います。 それから、私は、ロースクールの時代に、企業法務の勉強会に入っていたわけでもなく、会社法に特化して勉強してきたわけではありませんでした。ですから、これまで勉強してきたことと企業法務を志望していることとの結び付きがあまりなく、面接の際に、自分が何故企業法務弁護士になりたいのか、何故この事務所に入りたいのかの考えをまとめることができなかったという反省があります。できれば、面接に入る前に、自分が今までやってきたことと今考えている志望理由を文章化してみたり、他の人に話してみたりして、面接の前にいろいろ考えをまとめておくことが非常に重要だと思っております。私の場合は、倒産法が非常に好きで、ロースクールでも倒産法には力を入れて勉強をしていましたし、将来的に倒産事件をやってみたいと思っていたので、面接に行く前にそのことを書面として形にしてみたり人に話してみたりして、なるべくわかりやすく人に伝えられるように準備、対策をしながらやりました。 また、第一志望の事務所に行く前に、いろいろな事務所を回って、面接の回数を重ねることも大事だと思います。ロースクールのときは人と話すことよりも机に向かうことが多かったので、最初のうちは考えをまとめて人とやりとりをすることになかなか慣れませんでした。そういう意味では、いろいろな事務所に行き、自分の意見を人に伝えて対応するという訓練を積んでおくことが大事だと思いました。特に、質問に関しても、こちらからいろいろ質問はするのですが、実務の仕事のイメージは漠然としたもので、自分のイメージと先生方の実際の活動とがずれているところもあるので、質問を適切にするということは非常に難しく、質問をしても、それはちょっとずれているよね、ということが結構ありました。ですから、説明会でも面接でもなるべく質問をしてみて、もし何かずれていると思えば、そこから修正していくという形で、回数を重ねていくことが大事だと思います。 以上のとおり、私は、5月から8月半ばまでしか就職活動をしなかったので、かなり偏った話であるかもしれません。というのは、一般民事系の事務所では、合格発表の後に就職活動を始めることが多いです。また、実際に修習に入ってみてわかったのですが、一般民事系の事務所で広く採用活動をしているところはあまりないということもあります。私が司法修習をしている埼玉でも、採用してもいいと考えているものの特に採用しますと公表している事務所はすごく少ないこともあって、修習生で就職活動をしている人は、お宅の事務所では採用の予定はありませんかと飛び込みで行ったり、弁護士の方と知り合いになって紹介して頂いたりという形で就職活動している例が多いので、企業法務関係の事務所と一般民事系の事務所とではかなり就職活動の仕方が違います。ただ、面接でどのようなことを質問されるかはそれほど変わらないという気もするので、そういう意味で参考にして頂ければと思います。
○司法修習における同期の東京の大学出身の方の例の紹介 私の友人も就職活動の時期は私とほぼ同じで、6月の始めから7月くらいにかけて早め早めに動くのが肝心だと話していました。実際にサマークラークに参加していると、事務所の方でもどのような人物かということが予めわかっているので、内定を出してくれるのも非常に早い事務所も多いというような話をしていました。また、ロースクールに企業法務の弁護士の先生がいると、その方に紹介して頂いてサマークラークに参加して繋がりを作っていたという話も結構聞いていますし、友人の話ではそういった繋がりは非常に重要だとのことでした。 ロースクールのランクが上であることは採用に関係あるのかということですが、私自身はよくわかりませんが、実際に内定者に会ってみるとある程度ロースクール毎の偏りは感じます。地方大学出身者というのは非常に少ないですし、やはり東京大学や慶応大学の学生の方が多いという印象はありますが、だからと言って採らないかというと決してそうではないと思います。確かに地方のロースクール出身であることは有利にはならないと思うのですが、不利だとまでは考える必要がないと私自身は感じています。むしろ、ロースクールのランクよりも、ロースクールの成績が良ければ評価されると思いますので、実際に自分は地方の大学の出身ではあるけれども、ロースクールでこういう勉強をしてきて実績もあるんだということを主張できれば、ロースクールのランクを考えなくていいのではないかと、私自身は思います。 ロースクールや学部の成績については、事務所によって要求するところと要求しないところがあります。特にロースクールの成績がすべてを決めるというようなことはないと思いますが、今ロースクール在学中の方に関して言えば、他に特に強みがあるということでなければ、こだわっていい成績を修めようとすることは非常に有意義なことだと思います。面接の際に、自分はロースクールでこういう勉強をしていて、ある程度の実績もあると積極的な主張を展開して証拠として出すという形にできると思います。 今までお話した通り、企業法務の就職活動はかなり早いというのが特徴で、もちろん試験の結果が出てから採用されている友人も知っていますので合格発表後だから絶対に間に合わないということはないのですが、もし興味があるのであれば、試験直後から積極的に動いていく方がチャンスが広がると思います。
○司法修習までにどのような勉強をしておけばよいか それから、ロースクールのときは司法試験があることもあって、どうしても試験科目の勉強が中心になってしまいますが、実際は試験科目でない科目の授業もかなり多いと思います。そのような科目について、すごく深く学んでおくべきだとまでは思わないのですが、実際に修習に入ってみますと、試験科目以外の科目の知識が必要になることもよくあります。執行法の全般知識も非常に大事ですし、私自身は破産法を選択したのですが、労働事件の集中部に配属されたので労働法の知識が修習中に必要になりました。労働法についてもちろん自分で勉強し直したりしますが、全く知らないという状態よりも、ロースクールで労働法の授業をとっていてある程度骨格の部分はわかっていたので、とても入りやすかったです。ですから、試験科目だけではなく、他の科目の知識が役に立つことは非常にあると思うので、ロースクールの在学生の方はそのような科目についても授業はしっかり聴くのがいいと思います。 それから、実際に修習に入ってからロースクールの授業を見返すことが多く、私の友人もよくそう言っているのですが、ロースクールの授業は修習の勉強にも繋がっていると思うことが非常に多いです。要件事実もそうですし、刑事裁判演習の科目の授業も私はよく見返したりします。特に、民事の要件事実に関しては修習に入ってから一からやっていくことが難しい科目なので、ロースクールの授業の復習というのは修習前にやっていくと非常に有意義だと思いました。したがいまして、修習までには、今まで勉強してきたことを復習するという形で準備していれば、すんなり修習に入れると個人的には思います。 非常に簡単なお話でしたが、これで終わります。もし質問があれば聞いて頂ければと思います。
◆編集後記 明日10月1日から、後期の授業が始まります。前期に引き続き、健康に気をつけて、充実した時間を過ごして頂ければと思います。 今回は、本学の2008年度の卒業生である安藤瑠生子さんによるご講演「東京における就職活動について」の概要をお届けしました。講演概要の掲載にご快諾いただいた安藤さんに心から御礼申し上げます。
平成22(2010)年度東北大学法科大学院学生募集要項が、ホームページに掲載されております。出願書類の資料請求は、テレメールWebから行ってください。(請求方法の詳細は移動後のページ内の指示に従ってください。)
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